八幡人形     

八幡人形
 種類:土人形
 制作地:新潟県佐渡市八幡(旧 佐渡郡佐和田町八幡)
 現制作者:昭和7年廃絶
  村岡多平(多右衛門)(初代)・・・・村岡多七(二代目)・・・・村岡松次(三代目)・・・・本間清蔵(四代目)・・・・本間竜蔵(五代目)・・・・本間辰二郎(六代目)
         
 寛永年間、染物屋を営んでいた初代村岡多平が染色技術を学びに京都へ行った際、魅せられて持ち帰った伏見の型を元に作り始められたとされる。
 人形の制作は春から田植え期までに粘土をこねて型抜きして人形をつくり、秋の収穫まで乾燥させた。収穫期の終わった11月になって窯入れし1日かけて焼いた。1回の窯入れで約300個焼き、年に3回窯入れをおこなった。その後彩色をおこない土人形が完成した。
 土人形は二枚型で制作されたものには中に和紙に包んだ小石を入れて振ると音のするものもある。小型のものには落雁のように前面だけの型に土を押し込んでつくった裏面が平面の「打ち込み」がつくられた。
 人形は直接販売以外に雛の節句の頃には大願寺市(いち)や河原田市(いち)などの市でも売られた。売り子を頼んで西浜地区(相川)方面にも売りに出かけた。
 初代多平は多趣多芸で画、仏像修理、生花の師匠など多方面に及んだ。型に彫られている「文慶」は多平の雅号である。
 昭和7年農道を作るため窯が取り壊され、人形の制作は終わりをつげた。人形の型は保存され、旧佐和田町の文化財に指定されている。日本郷土玩具 東の部(武井武雄、1930)ではすでに記載が見あたらない。

   ※打ち込み・・・・・栃尾人形の画像参照

高さ105mm 尻尾は伏見によく見られる虎柄
裏面の彩色はなし
底面の書き込みとスタンプは所有者か?
おもちゃ通信200号より
98番は高さ125mm、99番は高さ100mm
どちらも八幡人形である。
顔は98番が似ているように思えるが、
サイズとしては99番の方に近い。
 「おもちゃ通信200号」より  
 サイズも高さ110mmとほぼ同一サイズで
彩色も似ている。
 
「佐渡の郷土玩具」より
  村岡多平(嘉永3年ー大正14年)制作の猫の型 
 「佐渡の郷土玩具」より  

    ※土人形の画像5点は名古屋のNさんによる
    ※山本修之助(1903−1993) 佐渡の郷土史研究家
     いろいろな郷土玩具本の八幡人形に関しての記述はほとんどが『佐渡の郷土玩具』
がもとになっていると思われる。
       
    
参考文献
佐渡の郷土玩具 (山本修之助 1973 佐渡郷土研究会)
日本郷土玩具 東の部(武井武雄、1930 地平社書房)
おもちゃ通信200号(平田嘉一、1996 全国郷土玩具友の会近畿支部)
日本の土人形 (俵有作編・薗部澄、1978 文化出版社)
全国郷土玩具ガイド1(畑野栄三、1992 婦女界出版社)