ねこれくと写真館 新入り招き猫

 我が家に最近仲間入りした招き猫たちの一部を紹介していきます。

1 酒田土人形
 招き猫の目は丸目が多く、針状をしたいわゆる猫目は数が少ない。今回入手したのはその数少ない猫目の招き猫です。骨董屋曰く『酒田の招き猫です』。骨とう屋自身は詳しいことはわからないが、千葉惣次さんに見てもらってのことということです。ただ山形の方で出た物であることは確かだと言うことです。
 酒田土人形といえば、廃絶してしまった大石家のものが有名ですが、この猫は全く雰囲気が違います。今度千葉さんに会ったとき、詳しく訊いてみようかと思います。
 とにかく猫目の招き猫は珍しいので入手してしまいました。

No.1  酒田土人形?

プロフィール
 @大きさは35mm(横)×35mm(奥行)×65mm(高さ)
 A素材 土   
 B赤い首ひもは後ろで結ばれ、前に金色の鈴がついている
 C目は黄色で中央に針状の瞳
 D耳の中央に小さな穴があけてある
 E底はふさがれているが、八橋土人形のようにへこんでおり、串を刺した穴があいている
 Fまゆ毛やひげはひじょうに薄い黒で放射状に描かれている
    

2 古型博多人形    2002年7月2日

 福岡の古型博多人形の招き猫といえば達磨抱きが有名です。以前九州に招き猫狩りに出かけたときには残念ながら時間の都合で制作者の中ノ子勝美さんの所へよれませんでした。その後九州へ行く機会をねらっていましたがなかなか実現しません。達磨抱きの招き猫もたまに取り扱っている店を見かけるのですが、けっこう中間マージンを取っていることと、もう一つ鈴持ち猫も欲しかったので今まで買わずにいました。この鈴持ち猫は4年ほど前に招き猫コレクターの方が出品しての招き猫展で一度見たきりでどこにも売っているところを見たことがありません。それならば制作者の所に注文するしかないなと思いながら、達磨抱きも含め古博多人形の招き猫は一点も所有することなく今まできました。
 中ノ子さんに問い合わせると達磨抱きは現在在庫を切らしているが未発表の『親子招き猫』があると言うではありませんか。この未発表とか限定品という言葉には何か引きつけられるものがあります。他人が持っていないもの、それもいち早く手に入れる、何かマニアの心をくすぐる言葉です。
 7月1日注文していた招き猫がつきましたので早速公開することにします。

親子招き猫土鈴
 この招き猫は達磨抱きの達磨の代わりに二匹の子猫を抱えていると思えばよいでしょう。向かって右の子猫は小槌を抱え、左の小猫は巾着を抱えてそれぞれ招いています。3匹とも古博多の特長である「猫目」です。

鈴持ち猫
 これは招き猫とは書いてありませんが、鈴を持った右手が結果としては招く手となっています。右手で抱えているのは長い間尻尾と思いこんでいたのですが、実物を手にすると鈴に付いたひもであることがわかります。身体の前から首のまわりをぐるっと巻いて鈴の位置に達しています。鈴には「五十鈴」と書いてあります。何のことでしょうか。三毛の斑点がやけに多いのが特徴です。

 今回現物を手にして初めて気が付いたのですが、古博多の招き猫には尻尾の痕跡は素焼きの上にあるのに彩色はありません。以前からそうなのでしょうか?

       
          

 夏の時期は彩色はストップすると言うことなので秋以降また残りの「達磨抱き」注文しようと思っています。


3 三河系の謎の招き猫    2003年1月6日    情報提供あり:瑞浪の招き猫か?

 昨年の11月にオークションで入手した招き猫です。最初にオークションで見たときは犬山の招き猫に顔が似ているという印象を受けました。一目でこの顔つきが気に入りました。どうしても入手しようと業者と張り合ったので予定よりちょっと高めになってしまいました。
 届いた招き猫はオークションの写真で見たようにひじょうにいい顔をしています。
 この招き猫は雛人形などといっしょに保管されていたということで胡粉が薄くなっている部分があることを除けば状態はひじょうによいです。

 ところで届いた招き猫はいろいろと謎を提供してくれました。
  その1 補強してある。→1ヶ所補修がしてあるのですが、膠を使った補修で素人によるものとは思えない。
  その2 反故紙による補強がある。→どうも後からのものではないような補強が反故紙で尻尾の付近にある。
  その3 内部には陶土を流し込んだようなあとが見られる。

 もともと三河系の招き猫は過去にいろいろなところで制作され産地や作者の特定が難しいといわれています。私自身も三河系の招き猫はいくつか持っていますが、作者がわかるものは現在制作されて高山さん(旭)と中島さん(起)くらいで古いものは全くわかりません。犬山土人形も話には聞いていても現物を手に取ってみたことはありません。犬山に似ていると思ったのも、この招き猫を最初に写真で見たとき、座布団に座った犬山といわれる招き猫に顔つきが似ているからという理由のみで他に根拠があったわけではありません。
 いろいろな文献で犬山土人形の特徴を調べてみると、手に持つと張り子かと思うほど軽い。その理由は土の質がよく、ひじょうに肉質が薄くできているからだそうです。また土質も白っぽい色をしているようです。
 しかしこの猫は肉質もそれほど薄くなくあまり軽いとは思いません。しかし土の色は白っぽい感じです。
 Fig.1〜4は猫の外観です。耳の塗り方などは明らかに三河系です。黒い斑点のまわりには薄いぼかしがあります。裏面には全く斑点がありません。尻尾も塗ってありません。手足はひじょうに太いつくりになっており、今まで見た中ではいちばん身体に対して太いがっしりしたつくりになっているように思います。
 補修や補強の件ですが、補修は制作手順から推測するとあとから壊れたから補修したものではなさそうです。反故紙の補強も後からではなさそうです。どうもこのあたりは制作途中でできたヒビや割れを直したのではないかと思われます。実際に焼かない土人形ではヒビの補強に反故紙で補強することもあるそうです。どうもその手のたぐいではないでしょうか。ネットオークションに出たときに出品者が「塗り直しなどは一切していません」と書いていたのはこの補修と補強の点をいっていたのだと思います。
 問題はFig.6にある鍾乳石のように見える部分です。これは手で押したのではできません。もしかすると流し込みによって作られているようにも思えます。

Fig.1 Fig.2 Fig.3 Fig.4

Fig.3の尻尾の汚れのように見えるのは補強に貼ってある反故紙の文字です。
Fig.5は底の状態です。反故紙が貼ってあり破けたところから内部が見えます。

  
Fig.5    Fig.6 招き猫の内部

参考データ
 @大きさは160mm(横)×160mm(奥行)×260mm(高さ)

 同じような招き猫を見かけた方がいらっしゃいましたら情報提供をお願いいたします。

情報提供者現る
 <蚕鈴舎>さんから瑞浪あたりの土人形ではないかという、次のようなアドバイスをいただきました。
 三河系の招き猫について、流し込みの根拠についての質問がありましたが、招き猫の内部の写真をみると、明らかに流し込みで製作されたものです。内部に手や布で押したような跡がなく、鍾乳石のように見えるのがその特徴です。
流し込みの製法は、瀬戸や多治見の陶磁器製法の一つとして大正末期から行われ、土人形の製法に応用されたと聞いています。姫土人形はその代表的なものと知られています。近郊では広見土人形や瑞浪地方の土人形に流し込みで製作された土人形があります。三河や犬山、名古屋には流し込みで製作された土人形はありません。
反古紙の補修も、瑞浪地方や姫土人形にも見られます。最近まで市原土人形の後藤久美さんも反古紙で補修をしていました。
招き猫は使われている色が少なく判別しにくいものですが、土質の硬さ、首輪の青色の使い方が姫や広見に比べて瑞浪に近いように思われます。                                           2003年4月6日


4 八橋土人形 新種?   2003年1月6日

 2002年も押し詰まった頃、骨董市で気になる招き猫を入手してきました。見ると明らかに八橋の招き猫です。でも彩色が変です。何か塗り直しをしたような感じがするのです。ちょっとそのことが気になり、躊躇したのですが参考にもなるのでまけてもらって購入しました。
 持ち帰ってよく見るとどうも塗り直してはいないようです。八橋の胡粉塗りは薄いのでどうもそれがかなり落ちたようです。自宅にあった八橋の猫と比較するとわずかにサイズが大きいのです。計測してみると見た目以上には大きさの差は少ないようです。高さが5mmほど大きいだけです。
 また彩色が決定的に違います爪や口の朱はオリジナルのままだと思われます。そうなるとシンプルな前垂れもオリジナルのままだと思われます。果たして目はどうでしょうか。オリジナルのままとすればかなり下手です。しかも済みを使っていません。猫の毛並みもまったくの白猫です。ヒゲや眉毛もありません。さらに耳の内側は青緑色に見える彩色の跡が残っています。歴代の八橋の猫の中には型は違いますが白猫もいますし黄色い目の猫もいます。もしかすると同じ型を元に別の家で制作されたものなのでしょうか?それとも制作年代の違いによるものなのでしょうか。また謎が増えてしまいました。

        
ヒゲも眉毛もない   シンプルな白猫    底面   参考資料

 八橋土人形

プロフィール
 @大きさは57mm(横)×57mm(奥行)×117mm(高さ)
 A土人形
 B胡粉の塗りは比較的薄い
 C朱に赤の前垂れに金の鈴
 D毛並みは斑点なしの白猫
 E底は八橋人形の特徴で、ふさがれ少し内側に押し込まれ、空気抜きの穴が5つある
 F尾はあるが彩色されていない
 Gヒゲや眉毛は描かれていない
 H耳の内側に青緑の色の彩色跡

 ねこれくと写真館廃絶招き猫の八橋土人形招き猫へ

5 香泉人形 招き猫 (復刻版)        2003年1月9日

  香泉人形の作者、山本香泉の人形の中に招き猫があるのは招き猫の文化誌(宮崎良子著)で以前から知っていましたが、実物は見たことがありませんでした。
 ところが昨年の京都壇王尊法林寺の主夜神尊祭でSさんから香泉の招き猫の型が見つかって、現在高知で復刻しているという話をうかがいました。
 先日、その復刻版がSさんから届きました。型は招き猫の文化誌のものと同じですが彩色は異なります。Sさんによれば、香泉の人形はいろいろな彩色があるとのことで、これは地元の収集家が所有している招き猫の彩色を再現しているようです。ちょっと金色のヒゲが見えづらいのが残念です。
 現在別の型も復元中ということです。これは立っている型ということです。どんな招き猫になるか楽しみです。


 115mm(よこ)×85mm(奥行)×100mm(高さ)

6 招き猫ガラス絵

 最近オークションで入手した招き猫のガラス絵です。
 かつては、蕎麦屋をはじめ、いろいろな商店に縁起物のガラス絵や祝い額が飾られていました。材料の仕入れ先などから開店祝いに贈られたものが大部分です。そんなガラス絵や祝い額も最近は見かけることが少なくなりました。
 マスコミに取り上げられ、行列のできている店でも、競争が激しくちょっとするとすぐ他の店に変わってしまっています。そんな店の開店祝いには大きな花束が贈られても、祝い額などは贈られません。
 町の中の家族で昔からやっている蕎麦屋などには古ぼけた祝い額が今でも飾ってあるのを見かけます。かつては魚屋や乾物屋にも祝い額があったように記憶しています。
 今回入手したのはバックが鏡になっているものです。定番の小判柄の座布団に右手上げの黒縁の招き猫が座っています。そばには小槌と小判が描かれています。「たくさんお客を招いて稼いでくれよ」ということなのでしょう。贈った相手先の「尾崎さんへ」という文字も残されています。少し汚れていましたが、ガラスクリーナーで磨いてやるとほんのわずかに鏡のメッキに腐食がありますが、新品のような輝きを取り戻しました。何十年にもわたって、どのような商いを見つめてきたガラス絵でしょうか。どんな店に飾ってあったのでしょうか。この店はどうなったのでしょうか。今となっては知るよしもありません。
 はたして今でもガラス絵の祝い額は制作されているのだろうか?
                                                                       2004年3月14日

額のサイズ  50cm×35cm

※渋江練り物は「ねこれくと写真館」廃絶招き猫へ移動しました。
 また「天草土人形の招き猫」を「ねこれくと写真館」廃絶招き猫へ、「金谷土人形の招き猫」を「金谷土人形作者に訪ねる」に直接掲載しました。