加州猫寺調査隊 その21 石坂遊郭余話
                                                                       2012年2013年合併号

2012年3月30日
 龍昌寺がかつてあった金沢市裏五十人町は石坂遊郭のすぐ近くだった。そして西インター通りができて町が分断された今もその名残の建物は残っている。そのような昔の町屋造りが残る中に一軒の店が開店しているのを見つけた。最近は休憩場所として利用させてもらっている穴場だ。直接龍昌寺とは関係がないが調査をしての余話ということで紹介しておこう。


 いつものアピタに買い物による。ついでに車を駐めさせてもらって付近の散策だ。龍昌寺→パチンコ屋(の駐車場)→更地→???。旧龍昌寺跡地はどんどん変わっていく。今度は何が建つのだろうか。どうもデイケアハウスのようだ。もう工事は終盤にさしかかっている。

 パチンコ屋跡で更地だったところ    
 この付近が龍昌寺のあったところ  水路だけは変わらない。   この奥に建設中
 
  そういえばこの水路脇を歩いたことがない 西インター通りから 右の屋根は安閑寺
 町屋造りの店もまだ残っている  増泉変電所  昔からある出村製材所 左は増泉変電所
   
   以前にも紹介したゴミ入れが残っている  


 

赤い屋根は安閑寺 その奥が旧龍昌寺跡地   
   安閑寺  
 安閑寺は浄土真宗大谷派の寺院だった。
この地は浄土真宗が
大きく根付いているらしい。
     


  安閑寺前の西インター通り横断歩道を渡るとかつて猫寺の話しを聞いたことがあるパン屋ジャーマンベーカリーだったかな?のあった場所になる。今は建て替えられている。


 
 以前話しを聞いたパン屋のあったところ    
 猫顔の窓のある元遊郭の建物  建物は傷んでいるが当時の名残はしっかり残っている 
 幾何学模様のタイル  これは猫だ  
     昔の色ガラス
   
   人が住んでいないとどんどん痛んでいく  
 この奥に隠れ家を見つけた  石坂川岸の表示  
 
 この幾何学模様も当時を物語る    
 先の物件とこの物件が
当時の建物をよく保存している。
特にこちらの建物は
玄関先の鏝絵がおもしろい。
    当時は賑やかな通りを上から眺めていたのだろう
   玄関両脇のアールがおもしろい  玄関先の鏝絵
     玄関前定番のタイル
   
   独特の雰囲気を持つタイル  


                               隠れ家見つけた!
                                                   

 平成24年(2012年)中野ひな市の前に金沢に寄った。ふらふらと散歩しながら旧石坂遊郭近辺の路地を見ていると古い建物が多い中、昔の雰囲気を残した店が目に入った。表にはお茶のメニュー。昔の町屋造りの建物に入れる機会はあまりない。お茶を飲みに入ってみた。

 「お茶をお願いします」。入った瞬間、ちょっと場違いな感じがした。まわりは和装小物の店。オーナーが出てきた。

 中から出てきたのは和服姿の女性だった。
喫茶店(休み処)と思ったがどうも違う。
お茶を飲んで写真を撮らせてもらっていると
何人かの和服姿の女性がやってきた。
常連さんのようだ。
なかば勘違いして入ってきたわけだが、
建物の造りのせいか、
それともオーナーのせいか
落ち着く。
だいたいあまりワイワイと騒がしくなく、
混んでいないのがいい。
勝手にここを隠れ家にした。
 
    和装小物のことは一切書いていない 
 きれいに手入れされている    玄関前の排水溝にも蓋がされた
 これだけ見ただけではどんな店かわからない  メニュー
 昔のつくりがそのまま利用されている  玄関口も壁面も凝ったタイルつくりになっている 
表を見ただけでは
何の店かわからないし、

扉も開いていないので
初めての客には
敷居が高いかもしれない。
しかし中の造りを見るだけでも
価値はある。 
   
    昔ながらのタイル 
 玄関を上がるとすぐ2階に上がれる  何でうさぎがトレード幕なのか聞き忘れた。オーナーの干支? 
  二人並んで上がれる広い階段  
   ここもジャラリーとして使える  
 階段はさすがに二人並んで
上り下りできるように広い。
今の家の造りと違って
一階の天井と2階の床は
板一枚なのだそうだ。
 2階の廊下    
 昔の配電盤  階段の反対側にも階段がありこちらから降りられる
 路地側の和室    窓から眺めた路地
     六畳だが押し入れをつぶした分広く感じる
   
 廊下から中庭を見下ろす 中庭  
 九畳あるギャラリー    3月です
ギャラリーは梁がむき出しになっており
天井がひじょうに高い。 
そのため畳数の割には広さを感じる。
壁面には展示のための
つくりもある。
 オーナーのこだわり ギャラリー壁面   
 
  ギャラリー上部   針がむき出しになって高い
凛凛HPへ   
 リュウくん17歳   裏面を拡大 
 一回の奥の部屋でお茶をいただく。
今回は抹茶にする。
この部屋でオーナーが
針仕事をしていたようだ。
ワンちゃんがいた。
もうお年寄りで白内障も
患っているということだ。

目はだめでよたよたと歩き回る
この店の副店長だそうだ。

リュウくん(17歳)
平成24年6月5日に亡くなったそうです。 
 先ほどはここから下を眺めていました  お世話になりました

     
     
     
     
2013年3月30日
 そして翌年、 龍昌寺跡とパチンコ屋跡はデイサービス「マナの家」となっていた。
     
     

   
 いつになってもこの水路だけは変わりません    
 西インター通り側から   裏通りから 
   2009年撮影 これだけ変わってしまった  


 そして行ってきました。隠れ家に。
 表の佇まいは変わっていません。



  隠れ家はこの奥  凛凛
近所の猫が入ってくるので
表はいつも締めてあるそうだ。
最近は 観光客もよく来るそうだ。
     今回は2階に通された
部屋を催しでレンタルをしていないときは2階も使ってもらうことにしたのだそうだ。 畳でもソファでもどちらでもどうぞ  
  今回は加賀棒茶を頼んだ。
加賀棒茶とは
茎茶のほうじ茶とのことだった。
少しお茶が出るのに時間がかかる。

しばしテーブルで資料を拡げて
一人作戦会議。
     昔のガラス
やはりこの雰囲気が落ち着く
     今回は加賀棒茶をお願いした
   よく磨かれた床板  
 ブログで知ってはいたが、
元気な新顔のワンちゃんがいた。
昨年の秋から縁があって
飼い始めたのだそうだ。
康作くん。
チワワとチンのミックス犬。
体重8.7kgのメロ君よりはるかに小さい。
かまってやると興奮してはしゃぎまくる。
写真を撮るのを忘れていた。
物怖じしないので
りっぱな副店長になれそうだ。

でもちょっと番犬には・・・・
でも「遊んで!」とはしゃいで鳴けば
不審者にも気がつくか。 
裏手?にまわってみた。
元電車通りである。
さすがに町屋造りは奥行きがある。
こちらから見るとただの民家にしか見えない。
和装関係の案内が出ている。
 また近くまで来たら寄ります!  
 裏手?  猫がいた 玄関から入ってくるのはこの猫?  旧電車通り(軌道)


 手元にある1960年代からの地図を調べてみても3回ほど持ち主が変わっているようです。空き家だった時期もありますが、やはり家は使うということで長持ちしていくのでしょう。

  過去の画像にこの場所の
画像がありました。

左が2001年4月2日撮影
植木鉢が置いてあり生活の場として
使用されています。

右が2010年3月撮影
売り物件になっています。
築100年で傷みはあったとはいえ
最近まで生活で使われていたということが
痛みを最小限に抑えたのでしょう。  
 2001年4月撮影 2010年3月撮影


 付近の風景は変わりません。まるで時間が止まったようです。夜来たことがないのでこの近辺の店はどこが営業しているのかもわかりません。


    辛うじて軽自動車が通れる 
   営業しているのかはわからない  空き地が増えている
 この奥に隠れ家がある    見たな!
   石坂遊郭会館跡地  
 
 第三飲食街  タイル跡だけが残る  


 オーナーのこだわりでスタートした店「凛凛」。いつまでも隠れ家として続いて欲しい。