=^・^=今年も中野ひな市に行くが・・・       2002年4月8日

 恒例の中野雛市に行って来ました。今年から販売方式が抽選になりました。どのようにやるかと言いますとまず予備抽選を行います。これで本抽選の順番が決まります。今年は初めての試みでもあり、また日曜に重なったので予備抽選は1000番まで準備されました。予備抽選をやったのは約950人ほどだったので順番が遅い人は本抽選にたどり着くだけで時間がかかってしまいました。しかも100人単位で列ぶ場所が決められているので、順番の遅い人は遙か彼方にならばされてしまいます。そして本抽選の三角くじの中に書いてある数字が購入順になります。はずれを引けばその場でさよならです。今年は282点の土雛が出品されたのでざっと4倍近い倍率だったわけです。
 ところで私はというと加州猫寺の調査を終え、中野に着いたのは29日から30日にかけての夜中でした。確かに8時までに列んだ人は全員予備抽選をできるということでしたが、とりあえず様子を見るためにちょっと早めに偵察に来ました。誰もいません。この日の朝も誰もいないので30日は1日かけて土人形資料館の見学やこれまで行ったことがなかった小布施の町を見学しました。小布施の蔵を改造した土人形館では西原家の古い招き猫を見ることができます。奈良家の古い飾り猫も見られますが、その近くに展示してある招き猫はどうみても奈良さんのものとは思えません。はたして実体はどうなのでしょうか。


土人形資料館での予習
 今年はサッカーのワールドカップが開かれるので当然サッカーものが予想されます。また、干支物もどんなものが出るか楽しみです。下の左は土人形資料館にあったサッカーボール抱きの招き猫。からだの斑点は「大入」の文字になっていません。右は跳ね馬に乗った招き猫。このあたりは即売会に出品される可能性があります。
 なお、土人形資料館は有料(大人200円)で全国の土人形が展示してあります。土人形は現在あるいは比較的新しいものが多く、中野および立ヶ花の土人形は現在制作されているお二人の作品です。

  
  ボール抱き招き猫     跳ね馬乗り招き猫

小布施の中野土びな館
 ここは無料で古い中野の土人形のみの展示です。それだけに見る価値があります。入って左側には奈良家の作品を中心に展示してあり、右側は西原家の作品を中心に展示してあります。その中から猫を捜してみると飾り猫が3点と招き猫が3点ありました。
 飾り猫は基本的には型は同じと思われますが時代によると思われる彩色に違いがあります。いちばん古そうなものは彩色もひじょうにシンプルです。また首輪のまわりもすっきりし尻尾のトラ模様もありません。奈良家に現在ある型も同じようなものらしいのですが、以前ご本人からうかがった話しによれば、現在制作している飾り猫はこの型をもとに今ふうに丸みを帯びた可愛らしい顔にしてあるのだそうです。
 招き猫の方は本当に奈良家のものなのでしょうか。奈良家には招き猫の型はなく、現在制作されている招き猫も貯金玉から型取りしたもので昔から伝わっているものではありません。来年お会いしたら伺ってみようかと思います。
 西原家の招き猫は体つきは現在製作されているものと同じですが、手が全く違います。古作は手が完全に体や頭とくっついています。これは輸送などを考えたらこく自然なことです。それでは、一体いつ頃から現代のように体から突き出た形になったのでしょうか。またどうしてそのような形になったのでしょうか。輸送の時の破損に関しては昔も今もさほど変わりません。どのような過程あのように壊れやすい手に進化していったか興味が持たれます。

     
  中野土ひな館の入り口

  入って左側(奈良家の作品中心)

  入って右側(西原家の作品中心

     
飾り猫3種
おそらく右のものほど新しい

  
これは奈良家のものだろうか?

       
西原家の古作2点

  現在の型と同じだが手が離れていない

  顔は現在のものより穏やか

     
  この型は現在ない


決戦の日
 いよいよ31日販売当日です。昨年雪が降ったことを考えると嘘のように暖かい朝です。ダウンベストなども用意したのに全く必要がありません。ちょっと厚めのシャツを着たぐらいでふだんの東京の服装とさほど変わりません。6時過ぎにいくともう商工会議所の前には人が列んでいます。それも見慣れた顔ばかりです。商工会議所のスタッフも今年は早く現場に出てきてキノコ汁やお菓子を配っています。
 かなり早めの時間に予備抽選は始まりました。テレビ局も3社ほど取材に来ていました。予備抽選の三角くじを引くとなんと23番でした。常連さんは比較的後ろの番号の方が多かったようで最初の百人の中には顔なじみは少なかったように思います。あとは8時まで予備抽選は続くので時間つぶしです。

     
 予備抽選が続く    本抽選前の人並み

 商工会議所の裏手では全国土人形即売会の準備が始まりました。こちらも毎年人気で、中野土人形とこちらの会場と販売開始時刻が同じなので駆け引きが難しいのです。今年はいつもより堤人形も数が多いようです。稲畑も小型のものばかりですが、数はいつもよりあります(と言っても両方とも10体あるかどうかの数ですが)。

 いよいよ本抽選の時刻です。予備抽選番号により100番ごとに列ぶ位置が指定されており、後ろの方の番号だと遙か彼方になってしまいます。前の方からどんどん引いていきますが、みんなハズレの声ばかり。万を期して予備抽選と同じあたりからくじを引きました。テレビ局のビデオカメラがアタリの瞬間をねらってこちらを撮影しています。くじをあけると何と「ハズレ」。これで今年のひな市はおわりました。何ともあっけない幕切れです。予備抽選の番号の若い人達からなかなか当たりのくじが出ず、テレビ局のカメラマンもどうなっているんだという感じでした。
 今回の本抽選で栄光の1番を引いたのは超常連のSさんでした。

 そんな決戦でため息が出ているころ、裏手の八十二銀行の駐車場では別のバトルが繰り広げられていました。全国郷土玩具即売会です。今年は堤人形の鯛くわえ猫が三匹も出品されていました。当然列びました。即売会場で列んだのは初めてです。それでも三番です。順番をとって置いてもらい、別の所を見に行きます。稲畑の招き猫が大小2点出ています。これも欲しい。昨年だったら堤に手を出してから行っても間に合うのに、今年はくじにはずれた人達がこちらにいのちをかけてどんどん流れ込んできます。堤の猫は持っているので結局招き猫ファンとしては稲畑を選択しました。各テーブルの前には何重にも人垣ができています。こんなことは今までになかったことです。みんなこれは自分のものとつばを付け販売前から異様な熱気です。稲畑も私を含めくじにはずれた常連客のMさんや昨年扇持ちの黒招き猫を購入したやはりハズレの方、そしてもう一人稲畑の近くにかつて住んでいた埼玉から来られた女性の四人で最前列を確保し、それぞれが自分の前につばを付けた人形を並べて札を握りしめ解禁の9時になるのを待っていました。9時の販売開始と同時に一瞬にして稲畑土人形のほとんどは売れてしまいました。
 そのあと別のテーブルの人形を見に行くのですが、なかなか最前列まで進めません。まさにバーゲンセール並の殺気だった雰囲気です。アッという間に会場の人形は完売状態となってしまいました。くじにはずれてヤケ買いをする常連客、予備抽選の順番が後のため抽選をキャンセルしてこちらの会場に列んだ常連客、一家5人予備抽選で全滅した家族などふだんのひな市では見られない光景がそこにはありました。
 はたして、今回に抽選という方法が本当に公平なのか。たしかに何日も前から行列できない人も多い。そのような人達から見れば公平にも見える。しかし、この日のためにふだん一生懸命仕事をして休暇をもらい、列んで買っている人達も昨年まで多くいた。遠方から来ても抽選では買えない場合も多くなる。このまま来年以降も同じ方法で即売が行われると、おそらく遠方のファンは確実に来なくなるでしょう。これから制作者のお二人もだんだん高齢化し、作品数も減少してくることが予想されます。今の人気におぼれて全国のファンを大切にしないと中野ひな市もだんだん衰退していくように思えてならない。
 「それではまた来年!」とおなじみさんと声を交わして中野の町を後にしました。


即売会会場

すべての即売が終わった後です。

     
 即売会会場

  奈良さん作品
  1番の方は「番頭福助」を買った
  西原さんの招き猫

  
 阿吽の「阿」
   阿吽の「吽」
中湯川の青柳さんも見学に来られていました

 今年の土びなは全部で282点出品されていました。そのうち奈良さんの作品が90点に満たない数でした。奈良さんの作品はひじょうに人気があるのですが、最近は小型の作品がめっきり減ってきました。かつてから奈良さんの「瓢箪かつぎ」など小型の作品は人気があったのですがみんなどうしても大型の方に走ってしまいがちでした。ファンの中からもやがて目が悪くなってくると小さいものは描くのが難しくなって制作数も減ってくるだろうが、何日も列んで小型のものに手を出すのは勇気がいるという声を聞きました。奈良さんも70才を前にして最近はそれが現実となってきたのです。
 なお今年は扇子持ちの黒猫が2匹出品されていました。常連さんから話を聞いて知ったのですが、この黒猫は2匹1組で狛犬のように1匹が口を開け、もう1匹が口を閉じ『阿吽』の招き猫となっているのだそうです。ちなみに昨年の同作品は「吽」にあたります。また残念ながら土人形資料館で見た2点もありませんでした。それどころか特に干支の午にちなんだ特別作品もありませんでしたし、午もいつもの年より少なかったように思います。サッカーものもありませんでした(東京の骨董市で顔に日の丸のフェイスペイントをしたワールドカップ勝利招きを見かけたので期待していたのですが・・・)。あとで実演会場でご本人から聞いた話しに寄ればかなりかなりいろいろな制作に追われ、時間的な余裕がないようです。今までその年や前年の話題を取り入れた作品を発表してきただけに残念でした。また目もかなり疲れているようでした。
 西原さんは出品数は増えているのですが、ひじょうに大きな「関羽」などはここ何年か最近見ていません。それだけにこれからどのような作品が制作され続けていくのか気がかりです。
 これからひな市が存続していくためには販売方法のさらなる検討と二人(と制作をサポートしている奥様)の健康にかかっています。どうかお体に気をつけて制作を続けていただきたいと思います。


おまけ
 これも例年のごとく、帰りに善光寺によって行きました。昨年気になったアーケードの招き猫ももう一度見に行きました。そこであらためて驚くべき事実を発見しました。ショーウィンドの中で招いている招き猫はひじょうに大きいのですが、どうもこれはミニチュアのようなのです。ショーウィンドの猫の足下にある「ようこそ権堂へ」の看板の脇に展示してある写真に注目してください。その写真が下左から3番目の写真です。アーケードの幅とほぼ同じ超巨大招き猫です。はじめは広角レンズによる誇張かとも思ったのですが違います。まさに巨大招き猫そのものなのです。一緒に写っている人の大きさと比べるとその巨大さがわかります。2つの招き猫を比べてみるとヒゲの筆使いが違うのでやはり別物です。大きさから言っても日本屈指の招き猫ではないでしょうか。きっと実物は保管できないのでミニチュアを作って展示してあるのだと思います。それにしてもミニチュアでこの大きさとは・・・。日本各地にはまだみんなに知られていない巨大招き猫が生息しているのかもしれません。今度行ったとき取材してみようかと思います。
 そう言えばこの権堂アーケードの途中にあるパチンコ屋「光扇」の開店看板でも招き猫が客を招いていました。

        
ショーウィンドのミニチュア
 アーケードとミニチュア招き猫
  これが問題の写真
   アーケード街途中の看板

訂正
 どうも巨大招き猫が気になるので加州猫寺第5次調査の帰りに寄ってみたのですが、ショーウィンドウに飾ってあるのがアーケードにあった現物のようです。広角レンズの遠近感にだまされてしまったようです。それにしても大きいことには変わりありませんが。   (2002年5月20日)