砥部人形(砥部焼き)
種類:陶人形・土人形?
制作地:愛媛県伊予郡砥部町
現制作者:不明
招き猫・猫の記録の中でも今回の砥部焼きの招き猫は郷土人形といっていいのかどうかわからない。郷土人形と土産物の中間に当たるのかもしれない。正式名はわからないので「砥部人形(砥部焼き)」とした。白磁の招き猫は現在もいろいろなタイプが白磁に呉須の砥部焼き招き猫として制作されている。これらは砥部焼きの招き猫でよいと思う。
問題はウルトラマン招き猫でこれを何と呼ぶべきか。そこであえて砥部人形と名称を付けた。後述の「坊ちゃん人形」も砥部焼き窯元の創作人形であった。
1990年代初期はまだインターネットもなく(普及しておらず)、 せいぜいパソコン通信の時代だった。 招き猫に関しても黎明期でまだ招き猫まつりも開催されていなかった。 そのような状態なので招き猫に関しての情報も 皆無に近い状態であった。 中でも招き猫の文化誌」(宮崎良子 1988 青弓社)は 唯一と言っていい情報源であった。 猫雑誌に時々出る招き猫の情報も貴重な資料であった。 「Cats」1993年1月号に招き猫大図鑑として特集が組まれた。 「Cats」はペットライフ社が1972年に創刊した「キャットライフ」が 後に書名が変わったものである。 その中に愛媛県の砥部焼の招き猫が気になっていた。 「とってもひょうきん。ウルトラマンじゃないよ」とコメントがついている。 底面に購入した1994年3月28日の日付がある。 記録が残っていないので 現在となってはどこで購入したかわからない。 またどのようにして購入場所を探したのかもわからない。 しかし砥部まで行って買ったことだけはたしかである。 |
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Catsの前身キャットライフ創刊号 | |
「Cats」 1993年1月号 | Catsに掲載された砥部焼の招き猫 |
500円硬貨と比較するとひじょうに小型であることがわかる | |
たしかにウルトラマンを思わせる目が特徴的 | お座りの黒猫と招きの三毛猫 |
チョッキのような半纏 | 黒猫には尻尾がある |
ひじょうに小さく黒猫と三毛猫で一対になっている。 どちらも赤い半纏を着ている。黒猫には尻尾がある。 招き猫として手を挙げているのは三毛猫だけである。 雑誌「Cats」に三毛猫が掲載されているのはそのためと思われる。 土人形であるが陶土を低温で焼いている可能性もある。 黄色の大きな目が特徴的。 夜に光る猫の目を連想させる。 残念ながらネット上でも見かけたことがない。 高さ22mm×横18mm×奥行19mm (三毛招き) |
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1994年3月に購入 |
砥部には「坊ちゃん人形」という親指大の小さな人形がある。砥部焼きの窯元「五松園窯(ごしょうえんがま)」の酒井芳美氏により制作されている人形で道後温泉などで販売されているようである。地元の砥部焼観光センター(現在の砥部焼観光センター炎の里)でも販売されているようだ。現在も制作販売されているかは不明である。
このウルトラマン招き猫もそのような流れをくむものかもしれない。この招き猫を知ったのは先の「Cats」であることは間違いない。購入当時の1994年はまだ招き猫情報が少なかっただけに、1993年発行の全国郷土玩具ガイド4を参考にしてこの観光センターでウルトラマン招き猫と白磁の招き猫を購入した可能性が十分ある。(※後に砥部焼陶芸館のパンフレットが出てきた。ここで購入した可能性が高くなってきた)
この時の行程で高松の大崎文仙堂の大崎豊五郎さん作の小判猫や岡山で久米土人形の猫、備前焼の招き猫を購入していることが人形の裏書きの日付からわかる。
砥部の坊ちゃん人形
左手上げの簡素な彩色 | |
呉須の端正な青が美しい | |
砥部焼の招き猫 こちらは正統派といっていい砥部焼の招き猫。 白い白磁に呉須の淡い藍色の彩色。 首たまに大きな鈴がついている。 高さ100mm×横65mm×奥行70mm |
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同じ1994年3月購入 |
参考文献
Cats (ペットライフ社 1993年1月号)
全国郷土玩具ガイド4(畑野栄三、1993 婦女界出版社)