多摩張り子 会田家  暫定版

多摩張り子 会田家
 種類:紙張り子
 制作地:東京都瑞穂市箱根ヶ崎(旧 西多摩郡瑞穂町箱根ヶ崎)
 現制作者:会田雅志・幸代
 
 瑞穂町で制作されている会田家の多摩張り子は山ア平五郎の弟の山ア国五郎の系統の山アトキ家や根岸家とは異なり、山ア平五郎の子で山ア定右衛門の系統にあたる。もちろん主力はダルマではあるが、招き猫・猫に関してはその圧倒的な種類の多さを誇っている。また猫以外にも稲荷や動物、天神、福助などの張り子もある。猫と干支もののコラボに関しては1990年代半ばころから制作を始めたようで残念ながら初期の作品は画像も残っていないとのことである。会田家でもこれほど長く作り続けることになるとは思っていなかったようである。同じ干支でも12年ごとに干支の型が変わるのでまさに一期一会の張り子で、最近はコレクションしている人も多いようだ。
 猫の制作はだるま市がある程度落ちついた時期に始めるので年始あたりのだるま市では猫の種類はまだ少ない。

 初代の会田亀次郎は山ア定右衛門の売り子をしていたが昭和の初めころ自分でも制作するようになった。二代目の会田光雄は器用で多くの型を制作して今に受け継がれている。以前木型を見せていただいたときに昭和10年代の銘の入った型がいくつもあったがみな光雄の制作した型であった。
 最近は住宅事情もあってか従来の作品を小型化した新しい型の猫たちも見られる。

       
初代  会田亀次郎 1884− 明治17年
二代 会田光雄 1919− 大正8年−
三代 会田雅志    


村上本次郎「多摩達磨の元祖」おもちゃ49・50号(全国郷土玩具友の会 1963)を元に編集
 友さんから山ア平五郎の系列のみ
         
                             |・・・・・会田亀次郎(初代)・・・会田光雄(二代)・・・会田雅志(三代) (猫)
                            |                                  幸代
  萩原友吉・・・山ア平五郎・・・・山ア定右衛門(二代)・・・山ア貞三(三代)・・・山ア平八(四代) (猫)
  (勝楽寺)    |
             |
           山ア国五郎(弟)・・・山ア百之助(製作休止)
                        |
                        |・・・根岸幸次郎(初代)・・・根岸正吉(二代)・・・根岸利夫(三代)・・・根岸正彦(当代) (猫)
                        |
                         山ア鳥之助(初代)・・・山アトキ(二代)・・・山ア美代子(三代) (猫)
                              (弟)

            ※山ア国五郎:山ア平五郎の弟  山ア鳥之介:山ア国五郎の子で山ア百之助の弟

 この系統を見ていると山ア平五郎兄弟がいなければ現在の多摩張り子の招き猫はほとんどなかったかもしれない。下の武井(1930)と合わせてみていただきたい。

 武井(1930)より  2系列が記されている
 
  山口村勝楽寺 友さん・・・・・・三ヶ島   比留間他1軒(すでに当時)達磨廃絶
                   |
                    ・・・・殿ヶ谷・・・・・山ア平五郎(当主)
                   | 
                    ・・・・村山・岸 ・・・・・小川由五郎(当主)
                         |
                          ・・・・・ 砂川 村野徳次郎・・・・村野喜市郎(当主)
                                            |
                                             ・・・・小川 椚三五右衛門(喜市郎の妹の嫁ぎ先)
                                                    椚仁三郎

  村山・岸・・・・・・・ 伊勢屋荒田・・・・・・荒田徳太郎(当主)
                  |    |
                  |     ・・・・・・箱根ヶ崎・・・・内野兼太焉i当主)
                  |    |
                  |     ・・・・・・石畑             ※制作者氏名なし
                   ・・・・・・・・三ツ木 鶴屋鐡五郎(伊勢屋の弟)
                                 |
                                 |・・・・・四之宮(永島) 鐡五郎の娘の嫁ぎ先
                                 |
                                  ・・・・・・厚木(酒井)

  八王子・・・・・・・武蔵屋竹次郎(当主)        ※武蔵屋は師につかなかった
                                                   当主:当時の当主


                                   


   1 会田家猫のパターン
   2 会田家の様々な猫たち
   3 干支もの招き猫・猫
   4 その他の猫+稲荷など
   5 会田家の木型
   6 だるま市

数々の多摩張り子の猫たち  
U:内野家
N:根岸家
S:沢井家
他はすべて会田家

会田家では実に多くの
招き猫が

制作されているかがわかる
全国郷土玩具ガイド2(畑野栄三、1992 婦女界出版社)  裏表紙カバーより  


「全国郷土玩具館の多摩張り子の猫たち」  
1998年に撮影した画像が残っている
撮影した場所は群馬県多野郡上野村にある
「全国郷土玩具館」
このた多摩張り子の猫たちも畑野栄三氏の蒐集品で
上のガイドブックと同じ猫たちである
やっと一般にもデジカメが使えるようになった時代で
まだ画素数も38万画素の時代だけにトリミングなしで
このようなレベルであった
サイコロ持ち招き猫
右は内野家、左は沢井家制作か?
左は沢井家の招き猫か?
これは今でもつくられているサイコロ持ち招き猫
親仔猫と鞠抱き招き猫
後ろには鯛抱き招き猫も見える
今年(2024)に入手したものと同じデザインの親子猫
これを見ても会田家では親子招き猫が
いちばん大きなサイズのようだ
ダルマを猫が両側から抱える張り子も見られる
会田家では今でもかなりの種類が
制作され続けていることがわかる
小型の猫もほとんどは現在も制作されている
会田家でサイズとしては最大級の
俵乗り招き猫を両側から猫が支える張り子
 中央は根岸家の猫か?
その右は会田家の髭達磨抱き招き猫
上段中央の二体は沢井家の作と思われる
沢井家ではかなり大きな猫を制作していたようだ


                                           

 さて会田家の猫をどのように紹介したらよいのか迷った。干支ものの種類が多いので全部掲載していたら大変な数になってしまう。また干支もの以外にもいろいろと種類が多い。
 そこで干支もので使われている基本的な猫のパターンをタイプで分けて最初に紹介することとし、その後にいろいろ付属品が付いた猫を紹介しようと考えた。ただし達磨抱きは猫張り子でも基本になるので基本パターンに加えることにした。


   1 会田家猫のパターン
   2 会田家の様々な猫たち
   3 干支もの招き猫・猫
   4 その他の猫+稲荷など
   5 会田家の木型
   6 だるま市




 会田家猫のパターン

正面向きの招き猫たち
基本的な招き猫
遠近感のため手前の猫と同じくらいの大きさに見える
後方の親子猫はもっとも大きいと思われる招き猫
親子ではない単独の猫があるかは不明



タイプA 最も大きいと思われる招き猫  
親はシンプルな首紐で仔猫は赤い前垂れを付ける 親子共に左手挙げ
太い尻尾 背面はすっきりした彩色
おそらく会田家が現在制作する招き猫の中で
もっとも大きな招き猫
子猫なしの単独猫があるかは不明
子猫があるので親猫の首玉は赤の細いひも
その代わり子猫が豪華な前垂れ付きの首玉を付ける


高さ340mm×横208mm×奥行205mm

このサイズの干支ものはないと思われる


下は北海道のNPO法人トロッコ王国が
2001年国土交通大臣賞を受賞したときに
プレゼントしたもの
最北の多摩張り子かもしれない
土の台座に乗る


タイプB Aより一回り小さい招き猫  
赤い前垂れだが、かつては青も作っていた 左手挙げ
これも大変シンプルな彩色 太い尻尾が一筆で描かれる

基本的な作りはタイプAと変わらず
このサイズも干支との組み合わせはないと思われる

高さ310mm×横187mm×奥行170mm
土の台座に乗る


タイプC やや小型の招き猫
シンプルな輪郭線 左手挙げ
赤い首紐に豪華な前垂れを付ける 太い尻尾

サイズが手頃なので
干支との組み合わせによく使われる招き猫
タイプAやBに比べ身体に対しての頭の比率が小さめ


高さ200mm×横123mm×奥行115mm
土の台座


タイプD 横座り招き猫
赤い首紐に豪華な前垂れ 左手挙げ
前に伸びる太い尻尾 白猫に黒の斑
干支との組み合わせによく使われる猫
黒猫もある
シンプルな彩色で
目と鼻の付近に朱のぼかしが入る


高さ228mm×横160mm×奥行155mm
土の台座


 タイプE〜Gは単独の猫を所有していないので干支込みで紹介する。単独の招き猫の張り子としても制作している。

タイプE 横座り招き猫
赤い首紐に金の鈴 左手挙げ
右手は前に出る やや控えめな尻尾
毎年干支もので使われる招き猫だが
単独の招き猫として制作されている
元になっている招き猫は戦前からの古い型である

左手を挙げ、右前足が前に出る構図の関係で
干支は前か左脇に配置される

高さ198mm×横177mm×奥行183mm
(丑込みのサイズ)

猫のおよそのサイズ
高さ198mm×横166mm×奥行130mm
猫のみに台座が付く


タイプF 干支抱え猫
珍しいタイプの干支ものか? しがみつくような姿がかわいい
丑も迷惑そうな顔はしていない 赤い首紐

招き猫にはなっていない
本来は下の画像にあるようなだるまを上から抱えた猫で新しい型
残念ながらこの達磨抱きはまだ入手していない(多分)ので
干支もので紹介する

この達磨抱きの猫を利用した干支ものであるが
もしかすると干支ものに使われたのはこの丑だけかもしれない
小さな猫なので牛にしがみついたようなおもしろい構図になっている
おそらく形状や大きさから干支との組み合わせには
向かないのかもしれない

高さ175mm×横177mm×奥行110mm
(丑込みのサイズ)

猫のおよそのサイズ
高さ141mm×横65mm×奥行110mm
台座は丑にある
貼り合わせ前 貼り合わせ後


タイプG お座り猫
この猫はほぼ同サイズの干支と組み合わされることが多い 猫の配置は逆のこともある
朱の手足の輪郭線は通常ののこと同じ 尻尾がない

毎年の干支ものでは定番のお座り猫
前で手を合わせすまして座る
尻尾はない
この猫だけかと思ったが
同タイプの干支ものの猫には尻尾がなかった
干支とほぼ同じサイズの小型の猫で
猫の配置は逆になることもある



高さ148mm×横150mm×奥行112mm
(寅込みのサイズ)

猫のおよそのサイズ
高さ148mm×横80mm×奥行112mm
この作品では土台は一体化している
深大寺だるま市の記録の中に
お座り猫の単独の張り子を見つけた
中央付近にあるのが単独の猫で
後ろや右の作品は干支の亥が付いている
  お座り猫単独 


                                         

    会田家の様々な猫たち

横座り達磨抱き招き猫
左手挙げ シンプルな彩色
右手で達磨を抱える 首紐はない

古くからある達磨抱き招き猫で同じような型は他家にもある
横座りであるがタイプEの干支もので使われる猫とは
スタイルが異なる

その後もう少し小ぶりな同タイプがあることが判明した


高さ229mm×横222mm×奥行170mm


親子猫  
仔猫は親猫に寄り添って寝そべる 親子とも前足をそろえている
仔猫の上に親の長い尻尾があり、仔猫の尻尾は足元にある 首紐は付けていない
古くからあるが
最近はつくられていなかった猫

親猫だけの単独の猫はよく制作されている

高さ218mm×横236mm×奥行180mm
子猫なしの単独座り猫

仔猫の上の黒い模様は親猫の斑であることがわかる
右後ろ足の上にある黒斑は尻尾
首紐はなし


達磨抱き招き猫 小
右手で達磨を支える 左手挙げ
首紐はない 尻尾がない
前にだるまを抱く小型の招き猫
古くからあるタイプのようだ
彩色もほとんど変わっていない
この猫には尻尾がない
描き忘れ?
古い作品には描かれているものもある(下)

だるまの代わりに鞠を抱く猫も古くからある

高さ156mm×横107mm×奥行102mm
会田光雄作「達磨抱き招き猫」(右)
(上と同型)
尻尾が描かれている


白猫達磨抱き
元三大師堂で目入れをしてもらった やや耳の隆起が小さめ
猫の彩色は基本的には他の招き猫と同じ 白猫2匹でだるまを抱える

猫の位置がだるまの後ろ寄りなので
猫の視線が外側を向く

同じ型で片側1匹で
だるまを抱くタイプもある


高さ202mm×横197mm×奥行183mm
台座は小さめ  
黒猫達磨抱き
黒猫2匹でだるまを抱える 赤い首紐
太い尻尾 白の斑に金の輪郭線

猫がだるまの真横に付くので
猫の視線は正面を向く


大きな張り子になるので
最近は要望もあって小型も制作されている

高さ200mm×横325mm×奥行180mm
台座は達磨のみなので猫は浮いた状態になる  
猫1匹でダルマを抱えるタイプ
作り自体は2匹で抱えるタイプと同じ 


髭達磨抱き招き猫
大きめの達磨に立派な髭 左手挙げ
右手で達磨を押さえる 太い尻尾

かつて制作された達磨抱きをあらためて最近制作したもの
ただし招き猫の型は異なる
達磨も大きくなっている
古い作品はタイプBの招き猫に
小さめの達磨を抱かせたものと思われる
今回の作品もタイプBの右手の位置を
手直ししたものかもしれない


全国郷土玩具ガイド2 裏表紙カバー参照


高さ308mm×横192mm×奥行206mm
多摩張り子の達磨は目にまわりに使用される金箔を
保護するために紙の目隠しで保護されている


いろいろな縁起物を持つ招き猫  
小判抱き招き猫 王将抱き招き猫
サイコロ持ち招き猫

小判持ち招き猫
タイプAに小判をもたせたもので
会田家では新しい型のミニサイズ以外小判持ちは少ない
根岸家や内野家の猫でも小判持ちは見た記憶がない
多摩張り子はやはり達磨が基本のようである
高さ198mm×横128mm×奥行112mm


王将持ち招き猫
タイプDに王将の駒を持たせたもので
将棋の駒は縁起物として「左馬」がよく使われるが
会田家の招き猫は最強の「王将」を持っている
高さ224mm×横170mm×奥行155mm


サイコロ持ち招き猫
タイプDにサイコロを持たせたように見えるが
右手や右後ろ足の位置が異なる

何処に転がっても必ず目が出ることから
「何事にも芽が出る」の縁起物

高さ230mm×横198mm×奥行145mm

だるまや干支も縁起物とみることができるのかもしれない

 下のような縁起物に乗った招き猫もある。

福俵乗り達磨抱き招き猫
達磨抱き招き猫が乗る 左手挙げ
右手でダルマを抱える 三つ俵に乗る
これも会田光雄の代に制作されていた
俵と招き猫の組み合わせ
当時はタイプCの猫が乗っていたようだが
今回はかわいいタイプが乗っている
昨年(2023)に制作されたものも同様であった
俵は五穀豊穣を象徴する縁起物で
それを3つ集めて福俵とし、
さらに縁起物の招き猫が福を呼ぶ
この招き猫はさらにダルマを抱いて福の三重奏

高さ292mm×横185mm×奥行123mm



2023年の俵乗り招き猫
インスタグラム kaikosuzuaより


細身な座り猫
首紐はシンプルな赤で金の鈴を付ける 金の斑に白の輪郭
手足の輪郭線は黄 太い尻尾

比較的最近型が起こされた座り猫
頼まれて型を起こしたという話を聞いた記憶がある
Bタイプを超える大型だがほっそりしたスマートな座り猫
他のふっくらした猫たちとは
まったく違う雰囲気を待った猫

白猫と黒猫があり深大寺だるま市には
だいたい出品されている定番となった猫


高さ315mm×横145mm×奥行165mm

台座


                                               


    干支もの招き猫・猫

 最近の会田家の招き猫では干支と組み合わせた猫が有名になった。ただ期間限定でどのだるま市でも出品されるわけではない。猫はダルマに比べて手間もかかるので数も限られている。特に干支ものは12年毎に干支のデザインも変わるので一度逃すと次がない。ネット上を見ていてもあまり紹介されることはない。すべてが揃っているわけではないが資料として残すためできるだけ集めて画像を掲載した。一部入手したときの情報が欠落しているものもあるがほぼ年代は間違っていないはずである。
 干支ものの制作は1990年代半ばころであるようだが、制作者の元にも画像が残っていないという。今回の画像も初期のころは一体しかない。これは王将持ちやサイコロ持ちなど他の猫を購入したためである。今になると2点買っていなかったことが惜しまれる。さらに在職中はだるま市が日曜日でないと行けなかったため欠番になってしまった年もある。

干支もの招き猫・猫     
2000年辰
2001年巳
2002年午
欠番 2003年未
欠番 2004年申
2005年酉
2006年戌
2007年亥
2008年子
2009年丑
2010年寅
2011年卯
2012年辰
2013年巳
2014年午
2015年未
2016年申
2017年酉
2018年戌
2019年亥
2020年子
2021年丑
2022年寅
2023年卯
2024年辰
    2025年巳
    2026年午 


 2001年からデジカメによる記録が残っている。これはそれまでより高画質のデジカメに買い換えたからであろう。それ以前はフィルムカメラで撮影したこともあるがどこにしまったのか出てこない。2000年の最初の記録辰は文書も購入記録も残っていない。
 あらためて干支ものを並べてみると2002年の午から作風がかわいい感じに変わっている。これは会田さんのお子さんが関わっている可能性がある。2005年の酉(フクロウ)は会田家でも定番となっている縁起物である。この年は仕事で早く行くことができなかった。2008年の子では白ネズミは少し作風が異なる。彩色は招き猫と同じような感じである。2011年の卯は人参持ちがみつかった。人参を持っている草食動物のウサギは警戒して耳を左右に向けている。2015年未と2016年申は干支達磨にしているがその後は干支達磨は制作していないようだ。おそらくダルマで干支の差別化が難しかったのではないだろうか?2009年の丑は干支ものの中でも特異な作品であった。おそらくこれ以外に同様な構図の干支ものはないと思われる。よく見ると2009年と2011年の丑は同じ丑であった。わずかに2011年の方が丑の厚みがある。今年2024年の玉を抱えた辰は手直しすれば福井の恐竜博物館のグッズともなる作品であった。量産は難しいと思うが。ちなみに我が家ではレックス君と呼んでいる。

 12年に1回の干支ものであるが少しずつ進化している。2023年の雪うさぎも新しいアイデアだし、2022年の寅は実際のトラ同様に耳の裏にきちんと丸い班がある。これは2010年のトラには見られない。このように作品の変化を見るのも楽しいのである。
 だんだん自分自身が高齢の域に入ってきて、あと何年集めることができるわからなくなってきた。もう一回りは行けそうかな?


                                          

 その他の猫+稲荷など

 そのほかにも比較的最近の型で小型の招き猫もある。もう最初に出てからずいぶん年月がたつがやはり昨今の住宅事情により小型の猫も好まれるのだろう。

チビ招き猫
  
小判抱き招き猫 白
首をかしげて招く 赤い首紐に金の鈴
右手挙げ 尻尾もある

前にも書いたように多摩張り子には
小判を抱いた招き猫は少ない
冒頭の畑野コレクションにも小判抱きはない
これも比較的最近になって制作されたのであろう
右手挙げでうれしそうに小判を抱いている
笑ったような細い目も
最近のものではないだろうか

高さ218mm×横236mm×奥行180mm
          
右手挙げ招き猫 黒
赤い首紐に金の鈴 左手挙げ
上を向く 尻尾も描かれている

東北地方には上目遣いの猫がよくいる
この猫は顔自体が上を向いている
そのため見下ろすと視線が合ってしまう
それでつい購入してしまった
小型の猫は同じようでも
それぞれ個性があっておもしろい


高さ218mm×横236mm×奥行180mm
上から覗くと
「買ってよ!」と視線が合ってしまう


稲荷(狐)  
左が通常サイズ(大)の稲荷
右が九尾の狐
九尾の前に通常版の小型が制作された
通常版は型を見せていただいたことがあったが
昭和1●年の銘があった
会田光雄20代前半の作である

稲荷の尻尾には輪がある。
これは火焔宝珠の輪だろうか?
九尾の狐の尻尾は彩色だけではなく
実際に立体的に制作されている

稲荷 大
高さ220mm×横113mm×奥行90mm

九尾の狐
高さ163mm×横81mm×奥行89mm

稲荷(小)も奥行き以外は同じサイズである
稲荷(左)には太い尻尾に火焔宝珠?の輪 立体的なつくり
通常サイズの稲荷と
比較的最近できた小型の稲荷 

多摩だるま    会田家
瑞穂町郷土資料館所蔵



                                        

   会田家の木型

 以前招き猫を受け取りにいったときに木型を見せていただいた。古い木型は戦前に二代目会田光雄によって彫られたようだ。墨書きで制作年の銘が入ったものがある。おそらくすべての型に記していたようだが、張り子を貼っているうちにだんだん摩耗して読みづらくなっていった。張り子の宿命である張り子紙を抜く時の刃物の痕で痛んでいたり修復を重ねてきたものもある。
 昭和12年と読めるの銘入りの型がある。大正8年(1919)生まれの会田光雄が18歳の時の型ということになる。画像が出てこないのだが確か稲荷の型にも昭和16年?あたりの年号が入っていたはずである。型には墨で作品のデザインが描かれているのでどのような張り子を想定して彫ったかがわかる。会田家では二代目が20代前後で制作した木型を大切に引き継いで制作しているようである。もちろん三代目になってからも新しい型が多く生まれている。残念ながらどれが二代目制作の型か三代目制作の型かはわからない。

タイプDの木型
墨書きの銘は昭和12年か?
タイプB?の木型  
かなり補修が入っている
残念ながら墨書きは不鮮明
タイプEの木型  
毎年干支もので使われる招き猫
単独の猫で出ることは少ない
これも残念ながら銘は不鮮明
型を撮影した年(2009)に作られた丑の干支付き招き猫
これは購入していなかった
鞠抱き招き猫  
鞠抱きと思われる招き猫の型 右手を挙げている
上の鞠抱きは挙げている右手が短い
元々の仕様だろうか?
初代林家三平の「どうもすいません」 のようでおもしろい
残念ながらまだ購入していない(たぶん)上に
画像を探したがなかなかいいものがなかった
購入したら画像を差し替える予定

下の型は鞠にしては小さい
達磨にしても小さい
少し凹んでいる部分があるので
小さい達磨ではないかと思っているが
しかし鞠にしろ達磨にしろ
手が中央付近まで伸びているので彩色が難しそうだ
鞠抱き招き猫  
達磨抱きあるいは鞠抱き猫 招き猫ではない
横座り達磨抱き招き猫 座り猫
すでに張り子紙を貼り付けて乾燥中の作品
型の様子がわかる
左は横座り達磨抱きだがこれは先の横座り達磨抱き招き猫とは型が異なる 
下の画像に2点出品されているが先のものは左、上の型に貼ったものは右にあたる
右は大型の座り猫である
仔猫付きの場合は右後ろ足の部分が仔猫になる
 横座り達磨抱き招き猫の型ちがい2点

左は張り子紙を貼った稲荷で
型は昭和10年代の制作
右は達磨抱きのようにも見えるが
両手がずいぶん前にある
このような作品があるのか探してみたい
 上の型の裏面
中央は鞠抱き猫の裏面
影になってよく見えないのはタイプEの型
達磨抱き仔猫    
達磨抱き猫の木型
達磨抱き仔猫
招き猫ではない
上の型はこの猫の
大きい方の木型と
思われる

最近は招き猫になった
張り子の頬が多い
招き猫仔猫  
単独の左手挙げ仔猫招き猫
この猫の木型と思われる
 様々な木型 
サイズは測定していないので
完成した張り子を
参考にして欲しい
もっとも小型のダルマか?
 右は女ダルマ(おかめ達磨)か?
かなり補修が入った達磨の木型
残念ながら墨書きの銘は不鮮明

これは別の年に訪問したときに見せていただいたもの  
 左は乾燥中のタイプAの大きい親子招き猫
その奥は半分しか見えていないがタイプBか?
右は頼まれて制作したという
スマートな座り猫の型
中央は達磨抱き招き猫の大と小の作品
右端は干支ものでよく使われる
タイプGのお座り猫と思われる
ダルマ抱え猫とダルマ
前は小型ダルマの木型



                                       


 やはり会田家の猫といえば毎年3月3・4日の深大寺だるま市。日にち固定なので平日だと行けなかった。その中からデジタル画像で残っているものから選んでみた。

だるま市風景
だるま市はいろいろな場所で開催されている
会田家の猫は大きなだるま市が終わってから作るようなので深大寺だるま市がいちばん種類が豊富だ
1月の拝島にも一度行ったことがあるが猫の種類は少なかった
遅いだるま市では4月に狭山長久寺で開催されている馬鳴様(みんみょうさま)祭に行ったこともある
1月には瑞穂町内の制作者だけが出店している圓福寺の初観音だるま市もあるが、
まだ猫制作前なのでやはり種類は少ない

デジタル画像で保存されているもっとも古いものは2001年の深大寺だった
それ以前もあるはずだがフィルムカメラでの記録でみつからない
干支ものは1990年代の途中から制作を始めたようだが、
最初のころは他の王将持ちやサイコロ持ちなどレア?タイプを購入していた
初期の干支ものを入手していないのは残念である
しかし当時は仕事で平日は行けず、だるま市が休日が重ならないと行けなかった
手持ちの画像の中から何枚か選んでだるま市の様子を紹介することにした
2001年深大寺 2005年ポーズをとってくれた
2013年深大寺 猫補充中 2021年深大寺
やはり猫は人気者 2015年長久寺馬鳴(みんみょう)様祭の出店
2020年深大寺 まだ干支もの購入も余裕がある
 
2023年深大寺 猫を抱えている人が多い こちらも猫お買い上げ 
2024年円福寺初観音だるま市 瑞穂町内の4軒の制作者が出店した




                                       





    瑞穂図書館/温故知新 瑞穂町を旅する地域資料 「多摩だるま」

    「多摩のあゆみ」 公益財団法人 たましん地域文化財団
               第8号(1977 昭和52) 「多摩のだるま」 pp.59−61 有川滋
               第35号(1984 昭和59)「ダルマづくりとダルマ市」山上茂樹翁ききがきノート 第四十六話
               第69号「多摩だるま」 pp.58−65 大嶋一人

    多摩張子1 縁起の章 (gannsyuuさんのブログ 2013.9−2014.3までの短期間しかブログはアップされていない。
                    私より年齢が上の女性郷土玩具蒐集家の方とと思われる 多摩張り子に関してはその7まであり)




参考文献
招き猫尽くし (荒川千尋・板東寛司、1999 私家版)
日本郷土玩具 東の部(武井武雄、1930 地平社書房)
おもちゃ第49・50号合併号(村上本次郎、1963 全国郷土玩具友の会)
瑞穂町史(瑞穂町史編纂委員会、1974 瑞穂町役場) pp.887−892
多摩の伝統技芸1(下島彬、1990 中央大学出版部)
ねこ(木村喜久夫、1958 法政大学出版局)
縁起だるま 高崎だるまとその商圏(峯岸勘次、2001 上毛新聞社)
越谷の張り子玩具(平成12年度越谷市文化財講習会資料)  越谷の張り子玩具(PDF)
郷土玩具1 紙(牧野玩太郎・福田年行編著、1971 読売新聞社)
「鯛車 猫」(鈴木常雄、1972 私家版)郷土玩具図説第七巻(鈴木常雄、1988覆刻 村田書店)
全国郷土玩具ガイド2(畑野栄三、1992 婦女界出版社)
おもちゃ通信200号(平田嘉一、1996 全国郷土玩具友の会近畿支部)
招き猫博覧会(荒川千尋・板東寛二、2001 白石書店)