小川張り子     

小川張り子
 種類:紙張り子
 制作地:埼玉県比企郡小川町
 現制作者:嶋田重夫・実子
 
 埼玉県小川町は小川和紙(細川紙)の和紙の里として有名である。嶋田家では江戸時代から農業と和紙漉きをおこなってきたが、昭和30年代の先代の時に張り子紙漉きに転向した。現在の嶋田重夫・実子の代になり自らも張り子制作を始めた。「招き猫尽くし」や「全国郷土玩具ガイド」にも記述は見られず、いつごろから制作を始めたかは不明である。嶋田家の張り子紙は多摩だるま、春日部張り子、佐原張り子など手張りの招き猫の制作者の元へ届けられているという。(下記はりこのはやしやの取材より)
 自宅の近所にある埼玉伝統工芸会館の方の話によれば、重夫さんは最近腰を痛め張り子紙づくりは別の方に委託して、張り子づくりに専念しているとのこと。

 小川張り子の招き猫は比較的凹凸の少ないものが多く、表面の彩色や和紙の貼り付けで猫の特徴を表現している。これ以外にも大きく手を上げたタイプの招き猫もある。和紙のけばを利用して猫の毛並みをうまく表現している。張り子には種子?が入れられカラカラと音がする。
 和紙を利用した猫のミニ額やトレーなども制作されている。
 猫以外にも干支などいろいろな種類の張り子が制作されている。


いろいろな小川張り子たち
埼玉伝統工芸会館で販売されている並ぶ小川張り子
表情はいろいろある
さらに大きなサイズもある


小川張り子の猫たち 
開封前の張り子たち
頬の部分や三毛の柄も和紙の貼り付け 赤い首玉
右手挙げ 尻尾も和紙を貼り付けている
高さ85mm×横66mm×奥行58mm


口のまわりと足の先に和紙が貼り付けられている 青い首玉
右手挙げ 尻尾は描かれている
高さ213mm×横158mm×奥行142mm


 両手挙げ?  
和紙の型抜きによる梅柄 招いているのかいないのか
造形的にはかなり簡略化されている 首玉はない
高さ80mm×横68mm×奥行48mm


口の周辺と足の先は和紙の貼り付け
右手挙げ 赤い首玉
高さ83mm×横68mm×奥行59mm


制作仕様(方法)の比較
頬のピンクは貼り付け 単色の毛柄では足の先に和紙が貼られることが多い
顔の描き方は鼻の下が長いクマ顔タイプ(右)と鼻の下が短いタイプ(左)がある
三毛柄は和紙による貼り付け 単色の毛柄は口のまわりに和紙を貼り付けることが多い
尻尾は和紙の貼り付けや彩色など
基本的なつくりは同じ


猫の面  
和紙のけばをうまく利用している 後塗りではなく、黒染めの和紙が使用されている
たて77mm×横72mm×奥行(厚み)28mm
袋に入れられているとき使われるこより  




   川越在住の江戸張り子の制作者である林史恵さんの「はりこのはやしや」のトップページ、のカテゴリー「張り子紙が出来るまで」に嶋田家の張り子紙制作の詳しいレポートがあります。直接アクセスするときは下記から.。ただし2021年4月にブログが上記に移転しているためリンク切れになる場合があるかもしれません。
     ・張り子紙についてパート1
     ・張り子紙についてパート2


参考文献
招き猫尽くし (荒川千尋・板東寛司、1999 私家版)
全国郷土玩具ガイド1(畑野栄三、1992 婦女界出版社)
おもちゃ通信200号(平田嘉一、1996 全国郷土玩具友の会近畿支部)