那智黒石の黒招き猫       

那智黒石
 種類:那智黒石粉末形成
 制作地:三重県熊野市
 現制作者:
 
 那智黒石(なちぐろいし)の招き猫は三重県の物産展などでよく気かける。
 那智黒石はもともと良質の硯石として採掘されてきた。また碁石(黒石)の材料としても有名であった。三重県熊野市神川町で産出する岩石。原石となる新第三紀の熊野層群の頁岩は海洋プレートが大陸プレートに沈み込む際に海溝堆積物が強く押し付けられてできた付加体の上に堆積している。付加体の上にできた浅い海のくぼみ(海盆)に河口から運ばれた土砂が堆積して熊野層群は形成された。那智黒石はその前弧海盆堆積体である砂岩や頁岩からなる熊野層群の中の頁岩がその後の火成活動の影響を受けて弱い変成を受けて緻密で薄くはがれる劈開構造をもつ珪質の粘板岩となり那智黒石と原石となっている。
 要するに南半球にあった陸地の堆積物がプレートの動きに乗って日本付近までやってきて、大陸プレートの下に沈み込むときこそぎ取られたのが付加体で、その付加体の浅い盆地状の海底に大陸側からの堆積物が堆積してできたのが熊野層群の地層。それにマグマの貫入で弱い変成を受けたのが那智黒石ということになる。
 那智黒石に関しては地質ニュース(産総研 2005 no.609)が詳しい。
 なお、庭の玉石などとして販売されている那智黒(いろいろな名称がある)は本来の那智黒石とは形成された時代も産地も異なる。

 硯や碁石などでは原石をそのまま使用するが、最近では原石保護と資源の有効利用の観点から粉末にして樹脂などと合わせて型抜き後に磨きをかける「那智黒石粉末形成」で多くの作品が作られるようになってきた。いわば土人形の型抜きと同じような手法で、この方式では原石を彫るのに比べ比較的細かい部分まで表現することができる。現在制作販売されている招き猫はすべて「那智黒石粉末形成」で制作されているようである。手彫りの招き猫が存在する(したか)は不明である。
 熊野那智黒石協同組合には岡室碁石株式会社、刈谷梅管堂(かりたにばいかんどう)、田野那智黒石店の3軒が所属している。徳村屋は火災により廃業したが下記のリンク先は残っている(2026年2月現在)。『那智黒石』は地域団体商標として登録されている。

那智黒石の招き猫
我が家の那智黒石の黒招き猫
比較は100円硬貨

かなり大型の猫も存在するようだ
左手挙げの小と右手上げの大 ほぼ二頭身の常滑型
「那智黒」のシールが付く しっぽがある

いわゆる常滑型の招き猫である
大きいサイズは千万両の小判を抱く
小さいサイズはいい気な鈴をつける
彩色がないので小さくても猫の細部まで表現されているのは
型抜きならではである
動画を見るとおそらく石膏型が使われていると思われる
流し込みの招き猫に比べ、
内部まで詰まっているので重量感はある



高さ92mm×横65mm×奥行55mm


高さ44mm×横30mm×奥行30mm
底には研磨痕の筋が残る
徳村屋の招き猫  
右手上げ 1か所穴をあけ鈴が付く
徳村屋の銘が入ったシールが付く しっぽはない

常滑型の招き猫に対して
土人形的な味わいを持つ招き猫

徳村屋の製品で徳村達男さんの作
徳村屋製

高さ78mm×横50mm×奥行46mm
底には研磨痕



徳村屋は2023年に火災で全焼して
廃業した模様である
「天然石猫硯」などという製品もあった(下)

熊野那智黒石協同組合
旧ページより
   




  那智黒石 熊野那智黒石協同組合公式HP
      岡室碁石株式会社
      刈谷梅管堂(かりたにばいかんどう)
      田野那智黒石店
      徳村屋 (現在の組合のHPからは入れない)(火災により廃業)
  那智黒石 地質ニュース(産業総合研究所 2005 no.609)(PDFファイル)  ねこれくと内(PDFファイル)へ
  那智黒石 熊野市HP   那智黒石in KUMANO 熊野市公式チャンネル
  石を売る【三重県熊野市】 中日新聞メディアビジネス局  AD FiLE no.369(2019年7・8月号 PDFファイル)  ねこれくと内(PDFファイル)
  三重特産「那智黒石」の干支置物、もう作れない・・・  中日新聞

 短時間の動画だが那智黒石粉末形成での制作が見られる (石膏型?への流し込みや底を研磨する様子がある)
  来年の干支は寅 特産の「那智黒石」を使った置物づくりが最盛期 CBCニュース2021
  特産の「那智黒石」で作られた「うさぎ」 来年の干支の置物作りが最盛期  CBCニュース2022




参考文献
 地質ニュースno.609(産業技術総合研究所、2005 実業広報社)

 那智黒石の招き猫を扱っている文献は少ない。上記のネット上の記事を参考にしてほしい。