青梅アートフェスティバル99「昭和恋しや青梅宿」



 青梅街道の宿場町として青梅では前年のアートフェスティバルに続いてまた猫のまつりが開催された。ただし1999年のテーマは「昭和恋しや青梅宿」である。昭和30年代の雰囲気を漂わせる昭和レトロ商品博物館、昭和名作映画絵看板展などのなかで住吉神社境内を中心に『猫町の福まつり』が開催された。
                         
 会期 1999年11月20日(土)〜23日まで開催。

 住吉神社客殿では、もりわじんさんの個展「おみくじ猫百覧会」、宮内久美子さんの作品展や大きな涅槃招き猫なども出品されたとある。
                                                            
 もうすでにデジカメは導入していたはずですが、この時はコダックのインスタマチックカメラの試写をおこなっています。使用したのはローライのSL26か西ドイツコダック製のどちらかである。1999年というとコダックがインスタマチックフィルムを製造中止した年だ。
 雰囲気を出すためプリントをスキャンする際にまわりの白い縁も残してアップした。
                                                       
 この年の10月に『昭和レトロ商品博物館』が開館した。確か見学したような記憶がある。画像がやけに少ない。もっと探せば出てくるかもしれない。

宮内久美子さんのブース あえて錆びた鉄板を利用したつくられた黒猫 昨年もあった
宮内久美子さんの涅槃猫
 この上に住吉神社がある  制作中の宮内さん

 宮内さんの涅槃猫は2018年瀬戸の招き猫まつりでも撮影スポットとして展示されていたものである。正確には宮内久美子さんのデザインで宮内さんのご主人の造形作家Hisokaさんとの共同製作のようだ。
 その年も住吉神社の石段口に鎮座していた。
                          
 この年ひとつ気になる猫がいた。それがこの小俣正孝さんが製作する猫だ。残念ながらネット上ではヒットしない。しかし時の流れに埋もれてしまうには惜しい猫なので今回あえてご本人の画像もそのまま公開する。

小俣正孝さんの招き猫達 小俣正孝さんの木彫の猫
 

このイベントで素晴らしい招き猫が売られていた。
しかも価格も手頃であった。小さめの猫を2匹連れて帰った。
大きい猫も欲しかったが、その後この方を見かけることはなかった。
青梅アートフェスティバルにはその後行っていない。青梅のだるま市に入ったことがあるが店は出ていなかった。
あの時名刺をもらってきていた。
しかし、しばらく名刺が行方不明になっていた。名刺がなくなっていないことはわかっている。どこかに紛れ込んでいるだけ。
あるとき名刺が出てきた。当時ネット検索にかけるがヒットしない。
また名刺行方不明。そんなことを繰り返しているうちにこのアーカイブスの編集を始めた。
編集中のまま何年か時が過ぎた。
2019年になって、あるときひょんなことから名刺が見つかった。
再びネット検索にかけて見る。ネットオークションが見つかった。すでに検索した10日ほど前に終了して落札されていた。
出品されていた木彫の裏に貼られていた紙片の住所から同一人物であることがほぼ確実となった。
そういえば当時の画像にも仏像風に彫った木彫の猫が置いてある。
購入した猫であるが材質は不明。張り子より質感などがしっかりしていて重い。そこの画像は掲載しなかったが磨かれていて平ら。
まさかこの重量でも木彫?白猫は表面に木彫風の模様がある。
黒猫は縮緬皺。黒は漆で磨いてあるとも聞いた。猫らしい猫背の招き猫。謎は深まる。

名刺には和紙工芸「小俣正孝」とあるが木彫家であったようだ。残念ながらそれ以上のことはわからない。
このアーカイブスをアップしたら手紙を出してみようと思う。

どなたかこの招き猫のことや小俣さんの消息をご存じの方はお知らせ願えるとありがたいです。


   
 正面 尻尾がうすく見える 
   
 猫背 後姿 
   
 白猫は表面にうろこ状の凹凸 黒猫は表面に縮緬皺 
 小俣正孝氏制作 仏頭大面(高さ48cm) 
   ネットオークション出品画像より




 青梅の町は変わったらしい。映画看板でレトロな雰囲気を演出してきた青梅の映画看板師、久保板観(ばんかん)氏が2018年2月4日に亡くなり後継者が途絶えた。さらに2018年の台風の影響や老朽化で街を象徴する大型映画看板は危険な状態になったため、2018年10月に撤去されることとなった。昨年は少しアートフェスティバルの雰囲気も変わったようだ。
 青梅はもともと猫をかなり前面に出してはいたが、今後は猫看板など猫で町おこしをしていくようである。今後の動向に注目していこう。
 
 下記のリンク先で青梅のアートフェスティバル開催の経緯などがわかります。なお西の風新聞の対談は板観さんが亡くなる直前の対談ということになります。


    青梅アートフェスティバルについて(リンクが切れている可能性もあります)
       各回のテーマをネット上で見た記憶があるのですが、見つかりませんでした。他に町おこしの例とした論文もあります。

       青梅アートフェスティバルと昭和レトロ発祥の町について

       再発見 まつづくり最前線 東京都青梅市

       ノスタルジーで人々に安らぎを与える町(情報誌「ネルシス」vol.7 2006)

       西の風新聞 「板観&みゆきの新春アートフェス対談」(西多摩8市町村の地域新聞)