難波八坂神社のおまねきさん
        八阪


 訂正 難波の八阪神社は「八坂」ではなく「八阪」でした。なお、京都の八坂神社は八坂です。(2012年4月1日)

『アッ、ない!』
 大坂の招き猫名所ということで有名な「難波のおまねきさん」こと難波八阪神社ですが、久しぶりに行ってみると何と招き猫の姿がない!。それどころか、かつての「おまねきさん」の面影さえもないのです。
 残念ながら、朝のお努めの時間のため詳しいことをうかがうことはできませんでした。隣の喫茶店で朝食を食べながら、店長にそのことをきいてもわからないということでした。ただ最近、宮司がかわったということでした。
 後日、電話でうかがってみると、昨年の4月からなくなったということです。やはり喫茶店できいたとおり宮司がかわり、その方の方針でなくなったようです。
 いろいろな本で紹介された「まねきねこ奉納台」(猫塚)をはじめ、本殿の中にあった寄進された多くの木彫り招き猫、招き猫の看板など招き猫に関するものはもとより、絵馬所、お守り授与所もなくなってしまいました。
 先の木彫りの招き猫も社務所の2名の方にうかがいましたがどうなったかわからないそうです。
 授与品であった大小の張り子の招き猫(高崎張り子)、桝に入った招き猫、まねきねこおみくじなどはもう手に入らなくなってしまいました。ただ金銀の招き猫だけは現在でも社務所で授与しているということでした。
 すっきりしてしまった境内は何となく、なにわ商人の活気に欠け、そしてわかりやすい「境内巡回の手引き」をだして庶民の「おまねきさん」を全面に出していたころに比べ縁遠くなってしまったような気がしました。
 境内のあちこちにあった「キティちゃんお守り、まだ少しあります」の張り紙が何となくむなしく見えました。


 これはかつて日本招き猫倶楽部の会報「福の素」に投稿したレポートです。1998年の9月に発行された17号に掲載されたものなのでこの年の春に行ったときのものです。
 八坂神社に最初に行ったときの事情はちょっと秘密ですが、1990年ころだったはずです。残念ながら写真などは残っていません。次に行ったのは1992年の春です。翌年の春にももう一度行っています。そして4度目に行ったのが上のレポートにもある1998年でした。電話で聞いたように1997年4月にがらっと変わったということです。
 HP『招猫倶楽部』の物草さんが平成9(1997)年3月に訪問記を書いていますが、同じ年の8月に行ったときにはもうなくなっていますので、この事実とも一致します。

 下の写真は難波八坂神社のパンフレットです。はっきりと「なんばのおまねきさん」を謳っています。
八坂神社のパンフレット(赤い4枚は古いパンフレットで左から純に1〜4ページにあたる。現在は配布されていない。カラー版は新しいパンフレット)

画像をクリックすると大きな画像を見ることができます。

Dが招き猫奉納台

 残念ながら、現在のカラー版のパンフレットでは招き猫のまの字もありません。

 大獅子殿もインパクトがありますが、大獅子殿の中の招き猫や授与品の招き猫などやはり難波の八阪神社は招き猫が目立ちました。本殿の中にも奉納された木彫りの多数の招き猫があります。木彫りの招き猫達はなぜかあまりかわいくないのです。顔が平面的で何か人の顔を思わせる感じがしますし、どこか最近の大陸風な顔立ちにも見えます。これだけ大きなしかも多数の招き猫はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。写真を見ると招き猫だけでなく獅子?などもあります。奉納品なので捨てられたというより焼かれてしまったのでしょうか?

     
大獅子殿(1992)   大獅子殿の中の招き猫(1993)   おまねきさんの看板(1992)
     
本殿の梁の招き猫(1993)   本殿内の奉納品の招き猫(1992)   ちょっと平面的な顔


 本殿右手にはお守り授与所がありました。ここで授与される招き猫は大小の高崎張り子の招き猫です。それ以外に金銀招き猫、枡に入った「まねきます」(正式な名称はわからないが、物草氏は訪問記でそうよんでいる)、招き鈴など実に品数豊富です。
 また、お守りや絵馬も実に数多くあります。特に苦手な教科の克服祈願の絵馬は他では見かけません。

招き猫奉納台
 本殿の正面、荒神社の横にあります。豪徳寺に比べるとバラエティに富んでいます。自分のうちで使っていた物が使命を果たして奉納されたように思われます。いかにも庶民あるいは商人の町という感じです。奉納品には金銀招き猫や「まねきます」はありますが、主授与品の高崎産はありません。張り子なので風雨に弱いため別にお焚き上げされているのかもしれません。
 1年後に撮影したものを見ても招き猫はあまり変わっていませんが、奉納台の位置は少し移動しています。これは奉納台にキャスターが付いていて移動できるためと思われます。
 奉納台の横には民俗学者永野忠一氏による招き猫の解説があります。

  
招き猫奉納台(1992)  大きな画像を見る   招き猫奉納台(1993)
     
拡大する   プレハブづくりのお守り授与所   えんぴつ絵馬


 残念ながら=^・^=は現在「難波のおまねきさん」に関する招き猫は次の二点しか持っていません。
 下の左は「まねきねこおみくじ」で社殿の賽銭箱の近くにあったと記憶しています。右のおみくじの布の中におみくじと「おまねき祈願」と称するお守りが入っています。お守りの中には右手上げの銀色の招き猫が入っています。左手上げの金猫が入ったものが存在するのかどうかはわかりません。
 下の右は「まねきます」で枡の中に右手上げの白猫が入っています。実は授与の時点で白黒の斑猫に変わっていたのですが、見本に出ていた古いタイプの方をもらってきました。ちなみに新旧タイプとも右手上げと左手上げがありました。(これらも招猫倶楽部で画像を見ることができます)

  
まねきねこおみくじ   「まねきます」旧版

 もう神社には『おまねきさん』の面影も残っていません。11月3日の例祭もなくなってしまったのでしょうか。でも何かかつての面影の撤去し忘れが残っているのではないかと思いつつもう一度だけ行ってみようかなと思っています。その際にはぜひ『おまねきさん』の歴史も調べてみようかと思っています。
                                                   2003年3月23日

 なお、文中に何回も出てくる物草さんの『招猫倶楽部』は下のバナーをクリックすると見ることができます。八阪神社訪問記は「招猫訪問部」にあります。
                                                    リンク切れ