高山土人形(山田焼)  

高山土人形(山田焼)
 種類:土人形
 制作地:岐阜県高山市山田町
 現制作者:岩光子(二代目)
 

 岩信成(初代)・・・岩光子(二代目)
 大正中期に陶工の家に育った初代岩信成が三河や富山などの土人形から型取りして高山土人形の型を作り、岐阜県高山市山田町で焼かれている伝統的な生活雑器「山田焼き」の技術を生かして独自の土人形「高山土人形」の制作を始めた。初代が亡くなった後、岩信成の子の岩光子が二代目として制作を続けている。(制作をやめているということも聞いているが詳細は不明)
 「山田焼き」の名称は生活雑記に付けられた名称で、郷土人形としては「高山土人形」であるとの教示をいただいた。今回も土人形としては「高山土人形」の名称を使う。

初代の制作の可能性もあるが詳細は不明

高さ115mm×横70mm×奥行75mm
目の筆づかいに特徴がある 首玉も途中までしか彩色していない
尾の彩色はなし  三河系の特徴を受け継いでいるのか裏面の彩色はなし  

                        
 少し前に岐阜のNさんから高山土人形(山田焼き)の招き猫をいただきました。作者は二代目の岩光子さんです。ただし常時制作しているものではなくNさんが依頼して作ってもらったのだそうです。型が岩さんのもとにあるのか、土人形を持っていって型をおこして制作してもらったものかは聞いたような記憶もあるのですが忘れてしまいました。今度お会いしたときに聞いてみようと思います。

岩光子作

高さ105mm×横65mm×奥行67mm
 招き猫としては小ぶりな目  黒い斑にぼかしの彩色あり  
首玉は裏面まで彩色あり 尾の彩色はなし


 並べると近年の作は少し小さいことがわかる。

型抜きしたのか近年の二代目作は一回り小さい 
「 垂れ目気味」の目の筆づかいに特徴がある


 どのような招き猫が基になって高山土人形(山田焼き)に進化したのか詳細は不明である。

   高山土人形と三河系招き猫の比較
                              
高山土人形は
富山や三河の猫をもとに
つくられたとされるが
おそらくこのような招き猫が原型となって
つくられたのだろう。      
 新旧の高山土人形と三河系招き猫  
    比較用の
不明三河系と思われる招き猫(左) 
 正面  底部  

                       
  インターネット上から本人の許可を得て二体の画像を追加します。

高山土人形(山田焼き)招き猫 別バージョン   
ネットオークションで
高山土人形(山田焼き)の猫が出品された。 
その中の招き猫は大きさも同じ(高さ115mm)で
面相も特徴的な目の描き方が同じである。
黒い斑の周りのぼかしがはっきりしている。
 高さ115mm  斑の周りのぼかしははっきりしている  
   裏面は彩色されていない。
尻尾も型のまま。
   尻尾は太い  
  裏面のスタンプ印は販売当時のものか? 
「停」のように見える。
 裏面に「停」(?)のスタンプ  
  首玉の色は緑で 金砂の跡がある。
目の筆づかいに特徴がある。
右手効きの筆づかいの特徴だろうか、
左右の目や眉の形状が異なるのも
赤い首玉の招き猫と同様である。
 特徴的な目  
鞠抱き猫   
    この鞠抱き猫もたまに見かけることがあった。   
飛騨高山で展示販売してあるのを
見かけたこともあり、撮影もしたが
画像は今のところ所在不明。
デジタル時代の前だったかもしれない。
どこの猫かわからなかったが、
目の描き方を見落としていた。
今回あらためて高山土人形(山田焼き)として
記録にとどめる。
   左手の位置は鞠を抱えているようにも見えるし、   
招いているようにも見える。
  左手が少し挙がっている   
尻尾の彩色はないが
前垂れのひもは後ろまで描かれている。 
   裏まで続く前垂れのひも  
   
裏面  尻尾は控えめ   
  特徴的は目は
高山土人形(山田焼き)独自のもの。
鼻は描かれていないのも
古い作品の共通的な特徴のようだ 
 前垂れに金砂  
  御殿鞠のような鞠を
大事に抱えている。 
猫が抱いているのは御殿鞠か?  


招き猫の貯金玉  
高さやく19cm  
 
  貯金玉になっている
 
高山土人形別バージョンにもあるスタンプが押されている 底に墨書きされた『優』 の文字


 ネット上の画像から
高さ約19cmとこれまでの高山土人形の招き猫よりサイズが大きい。
貯金玉にするためにこのサイズが必要であったのだろう。 
特徴的な目の描き方や眉などつくりはこれまでのものとほぼ同じである。
裏面の彩色がないのも同様である。
サイズが大きいので首玉や鈴はしっかりと描かれている。
「高山土人形招き猫 別バージョン」にもある同じようなスタンプが底に押されおり、やはり「停」と読める。






 最近入手した初めて見る高山土人形(山田焼き)の鯛抱きの猫。堤人形をはじめ、東北地方に多い型だ。どこから高山に入ってきたのだろうか。富山あたりと考えるのが自然かもしれない。
多地方にある同じような鯛抱きであってもしっかり目が高山土人形の目になっている。裏面にある1952年という覚え書きからおそらく初代岩信成の作品ではないかと考えられる。
尻尾は型だけで彩色されていない高山土人形(山田焼き)においてしっかり描かれているのは珍しい。

鯛抱き猫  
 高さ58mm×横110mm×奥行55mm  尻尾が描かれている
  結び目はあるが首玉はまったく描かれていない
1952年(昭和27年)飛騨高山で購入したことがわかる  
山田焼きの猫の目 しっかり描かれた尻尾




参考文献
全国郷土玩具ガイド2(畑野栄三、1992 婦女界出版社)
おもちゃ通信200号(平田嘉一、1996 全国郷土玩具友の会近畿支部)
日本の土人形 (俵有作編・薗部澄、1978 文化出版社)